お金を稼ぐ
カフェの開業の仕方と収支

飲食店をはじめるには何をすればよいか。
夫婦で営むカフェのケース。

コーヒーが好きだからカフェをしたい。
そんな動機から夢を実現していく。

実際にカフェを開店して、
好きだったコーヒーを一杯一杯、
お客様に提供する喜び。

カフェを開店できたこと、自分のお店を持てたこと、
ワクワクがいっぱいです。

半年、1年と営業していると、
コーヒーを提供したいという思いよりも、
経営者としての思いが強くなるのが現実。

売上、利益、回転率などを考えるようになります。

コーヒーだけでなくお酒の方が単価も高く、利益率も高い。
ランチはコーヒー、夜の時間はお酒も提供すれば客層も広がる。
お食事のメニューも飲み物に合わせてかわってくる。

コーヒー1杯で1時間、2時間とゆっくり過ごすお客様、
仕事終わりに一息、さくっと30分でビール2杯飲んで帰るお客様。

どうしても回転率、利益率で考えてしまう経営者思考。
お酒を頼んでくれるお客様が来店してくれることに
大きな喜びを感じるようになります。

収支シミュレーション

カフェを夫婦で営み生計を立てるためにも、
最低30万円、できれば50万円は手元に残したい。

そのためには売上がどのくらい必要なのか。
飲食店の場合、店舗の家賃が大きな固定費です。

例えば、夫婦で営む小さなカフェとして家賃20万円の店舗と契約。
4人掛テーブル4つにカウンター4席、満席で20名の店内。
営業時間をランチ11:30〜14:30、夜18:00〜22:00の7時間営業。

ランチメニューは1200円のセットメニュー。
回転率は2回転、稼働率30%で12名来店。
売上14,400円、原価が40%、利益が8,640円。
20日営業で172,800円の利益。

夜はお酒がメイン、1杯800円のこだわりのお酒。
回転率は3回転、稼働率35%で21名来店。
客単価はお酒2杯とおつまみで2000円。
売上42,000円、原価25%、利益31,500円。
20日営業で630,000円の利益。

ランチと夜の1ヶ月の利益は802,800円。
支出は家賃20万円、水道光熱費5万円、通信費2万円、その他消耗品等3万円、
合計支出30万円。

手元に残るお金は502,800円。
1ヶ月の売上は1,128,000円です。
1日30名前後の来店、7時間の営業時間で4〜5名/時の集客が必要です。

夫婦で毎月20日、1日7時間の営業、
仕込みの時間を入れると10時間〜12時間の労働時間。

自分のお店であり、夫婦での営みなので自由さはありますが、
その分の責任と労働時間が伴います。

この働き方で年収360万円〜600万円で満足できるか、
自分たちが理想とする生き方とあっているか、
夫婦でカフェ開店を考えるときにイメージしてみると良いでしょう。

オーナーでカフェを営む場合

より時間的な自由を手にしたい、
収益を拡大させたいという思いが強くなれば、
アルバイトなど従業員を雇用してオーナーという立場での
事業計画を立てる選択も良いでしょう。

例えば、時給1,200円でアルバイトを雇用し、
昼と夜の7時間入ってもらった場合、月168,000円です。
働く時間を減らして、手元に334,800円が残ります。

常に2名をアルバイト入れて、接客と厨房を任せてしますと、
夫婦はお店に立たずに経営だけして166,800円が残ります。

複数店舗を経営し、3店舗出店すれば500,400円が手元に残ります。
従業員を雇用するという新たな責任が増えたり、
複数店舗のオーナーになることが負担にならないか、
夫婦でどのような働き方をしたいか話し合って計画することが大切です。

開業に向けて行う10個

①「事業計画を立てる」
どこで、誰に、何を、いくらで販売し、何時間営業するのか計画します。

②「出店場所を探す」
自分のお店を出店したい「エリア」を決めます。
イメージしているお店の雰囲気に合う場所、
来店して欲しい客層の通行量、
周辺で出店しているお店など実際にそのエリアを歩いてみて調査します。

エリアが決まれば、「空き店舗」を探します。
まずはネットで調べてみて、
出店したいエリアの店舗を扱っている不動産屋へ問い合わせ、
見学したい店舗があれば日程調整、なければ希望する上件の店舗がないか相談します。

その時点で見つからなくても、空き店舗情報が入れば、
連絡を入れてもらうようにお願いしておきます。

出店場所はカフェを営む上でとても重要な条件なので、
一切の妥協をせず、希望の店舗がみつかるまで、
しっかり時間をかけて探しても大丈夫なように
出店までのスケジュールを計画しておきましょう。

③「出店場所と契約する」
ここだと思える店舗が見つかれば、迷わず不動産屋へ契約のお願いをします。
不動産屋からオーナーへ連絡を入れてもらい、
この店舗で行うこと、変更したいことなど、
こちらからの要望も併せて確認してもらいます。

オーナーからの返答も問題なければ、契約書を交わします。
その際に、店舗を借りる場合に保証金という
まとまったお金を準備する必要があります。

家賃の6ヶ月分が多く家賃20万円だと保証金120万円になります。
その他に仲介手数料や家賃2ヶ月分など入れると、
150〜200万円程が店舗を契約する時点で用意しておきます。

④「内装・外装工事をする」
店舗の契約が終わると鍵を受け取ります。
その後は自由に店舗に出入りできるようになります。

内装や外装工事を業者にお願いする際には、
この鍵の引き渡し日を基準にスケジュールを組んでおきます。

この店舗にしたいと決まった時点で不動産屋に図面をもらい、
工事業者と打ち合わせを行います。

壁や床、電気工事などこちらのイメージを共有して、
概算見積もりとスケジュールを作成してもらいます。

予算が内装・外装工事に100万までなど決まっている場合は、
先に予算を伝えると業者も提案しやすく、
具体的な金額がわかっているとやる気も違ってきますので、
ざっくばらんに伝えて相談してみるのはおすすめです。

⑤「設備を購入する」
業務用の設備を揃えるとなると高額になります。
冷蔵庫や冷凍庫、作業台、水回り、エアコン、食器類もこだわるとピンキリです。

何が必要かリストに書き出していきます。
ネットで販売価格がいくらなのかも書き込み、
新品にこだわらず中古でいくらになるのかも比較して、
予算内に収まるように購入していきます。

⑥「設備を搬入する」
店舗へ配送される設備は店内へ運んでもらい、設置していきます。

中古の設備だと引き取りにいく方が安いケースも多いので、
引き取りに行く時は2名以上で伺い車で運びます。
大きな設備から考えたレイアウトに設置、食器などの小物は最後に配置します。

⑦「メニューや看板を作る」
一通り店内の設備が整うと、テーブルに置いたり、
お客様に渡すメニューを作成します。

営業が始まるとお店の前に置き型のメニューを出すのもよいです。
看板は看板屋に依頼します。
ショップカードや名刺も必要であればネットで安くて簡単に作成できます。

メニュー、看板、名刺など制作するものを書き出し、
デザイナーに一式まとめて統一感のあるデザインを作成してもらうと効率的です。

出来上がってきたデザインのデータを看板屋や印刷会社などにデータ入稿すれば、
各販促物が仕上がってきます。

もちろん、デザインを自分で作成してもコスト削減をしても大丈夫です。

⑧「告知する」
お店の開業の目処が立つと、HPやSNSを使って告知をします。
無料で手軽に告知できるツールはSNSです。

インスタやFacebookを使ってお店の宣伝活動を行います。
HPは必須ではないですが、制作するお店も多いです。
製作費は数万円から数十万円、サーバー代は年間1〜2万ほど、
販促費として予算を計上しておきましょう。

店舗立ち上げ時だと市区町村から助成金がでるケースも多いので、
調べてみるとよいでしょう。

⑨「決済手段を増やす」
現金だけでなく、クレジットカード、電子マネー決済を
使えるようにしておくとよいでしょう。

Airpayなど契約すれば端末を支給され、簡単に導入できます。
お店をはじめると営業されることも多く、
キャンペーンなども適宜実施していますので、
問い合わせる際には契約特典を確認しておくとよいです。

⑩「食品衛生許可を取得する」
飲食店には「食品衛生責任者」を1店舗に1名おき、
保健所に届け出る必要があります。

食品衛生責任者は栄養士や調理師などの資格をもっているか、
保健所の講習会を受講する必要があります。

「飲食店営業許可」を取得するためには保健所に申請し、
検査に合格する必要があります。
保健所への申請料金の目安は18,000円前後です。

検査は店舗にある調理場の施設が要件を満たしているかチェックされます。
店舗工事前に一度、図面を保健所へ確認しておけば、
工事後の手直しといった無駄な作業が不要になるのでおすすめです。

申請に必要な書類は次の7点です。
[1] 飲食店営業許可申請書
[2] 営業設備の大要・配置図
[3] 内装の配置の平面図
[4] 場所の見取り図
[5] 登記事項証明書(法人が申請する場合)
[6] 水質検査成績書(貯水槽や井戸水を利用する場合)
[7] 食品衛生責任者の資格を証明する書類
申請から許可まで2〜3週間で完了します。

⑪「消防許可を取得する」
飲食店では火器を扱うため、
開業時に消防署へ次の5つを届け出をしておく必要があります。

[1] 防火管理者選任届出書
従業員を含め、収容人数が30人未満の小規模店舗の場合は、
防火管理者の届出をする必要はありません。

資格取得には、甲種防火管理新規講習(約10時間・2日間)、
乙種防火管理講習(約5時間・1日)を受講し、
効果測定の試験を受けて合格する必要があります。

[2] 防火対象物使用開始届出書
店舗の使用を開始する7日前までに提出します。

[3] 防火対象物工事等計画届出書
店舗の工事を始める日の7日前までに提出します。

[4] 消防用設備設置届出書
飲食店での設置が義務付けられている消火設備や警報設備、
避難設備、消防活動用設備などの消防設備を設置した後に
消防署に提出、店舗にて消防検査が行われ検査済証が交付され完了です。

[5] 消防計画
届出雛形をダウンロードして防火管理者が作成し、消防署長に届出を行います。
消防計画は火災発生時に安全かつ適切な消火、
避難活動を行うためのマニュアルの役割も担うため非常に重要になります。

あとがき

小さなカフェを夫婦で開業するために必要な事、カフェを開業したときの具体的な金額を用いてのシミュレーション、開業に必要な店舗の契約、店舗工事、必要なライセンス、集客や決済手段についてご紹介しました。


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