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中古車販売および整備事業の開業の仕方

中古車市場規模は21年度調査で約4.1兆円、
中古車を販売するフランチャイズや個人の会社は2~3万店舗、
自動車を整備する会社は約9.1万工場(うち、いわゆる町の整備工場は約5.6万工場)が
全国に点在しています。

日本の中古車は世界からも性能や耐久性の評価は高く、
日本市場で廃車される車両は海外へ輸出され、
20万km、30万kmと元気に走っているのが実情です。

今回は中古車販売および整備を主たる事業にする
会社の開業方法と事業運営について、
どのような要件が必要で、仕入れから販売までのノウハウをご紹介します。

中古車販売に必要な主なライセンス

中古車販売事業を一言で言うと、
車両を仕入れ、仕入れた価格よりも高く販売するという
シンプルな事業です。

このシンプルな事業を営むために必要なライセンスは、
中古車を扱うための「古物商許可申請」、
仕入れた車両を整備する場合は「自動車整備士」、
車両を仕入れる業者専用の「オークションライセンス」、
自動車保険など保険を扱う場合は「保険取扱資格」、
これらのライセンスがあると仕入れ、整備、販売を行えます。

法人などから車検業務を請け負いやすくするために「認定工場」
として申請するためには、自動車整備士2級のライセンスの取得が必要です。

古物許可申請

古物許可申請を行うためには、
中古車を取り扱う所在地が必要になるので、
整備や販売が行える工場を探して、賃貸契約を済ませておきます。

工場を探す際には、
建物の中で整備が行えるように最低3台は入るスペース、
来店客の接客が行える事務所のスペース、
工場の前に販売車両を5台前後置けるような広さは仕入れ、
整備、販売するためには必要だと考え工場を探します。

工場の前の通りは大通りであれば展示しておくだけで、
お客様に宣伝できるのでベストですがその分、家賃は高くなります。
大通りでなくても、レッカー車の出入りが可能かは確認しておきましょう。

レッカー車を自社で所有するかも考えるポイントの一つです。
新たに購入する場合は数百万円の資金が必要になること、
工場にレッカー車を駐車できるスペースを確保できることが求められるので、
どんな車両をどのくらいの頻度で扱うか、
その上でレッカー車の所有が必要か否かを判断しましょう。

物件探しを開始して、
下見・申込みが完了するとオーナー様の審査(1〜2週間程)、
オーナー様から許諾がでれば不動産屋から説明を受け、
正式契約、入金をして鍵の引き渡しとなります。

開業準備

続いて開業に向けて準備を進めていきます。

ネット回線や電話、FAXといった通信回線の契約をします。
工場内は自動車整備が行える大きな電力が必要なので、動力契約と配線工事を行います。

工場内に必要な施工を業者へ依頼します。
リフトや各種工具を購入して搬入します。

看板を発注し、人の目に付きやすい場所に設置します。
必要に応じて、工場の出入り口や外観をブランドカラーに合わせて
塗装することも検討すると良いでしょう。

賃貸契約の解除時に原状回復が条件になっていることが多いので、
建物に塗装等を行うときは事前に不動産屋を通じて、
オーナー様に確認しておくと安心でしょう。

工場や事務所の設備が一通り整い、
自動車の整備、接客、販売ができる状態になると、
次は、車両の仕入れを行います。

業者専用オークションで車両仕入れ

車両の仕入れは業者専用オークション
業者専用のオークション会場は日本にいくつかあります。

各サービスで新規加入要件が異なります。
新規はお断りで紹介がないと加入が難しかったり、
事業実績が数年ないと加入できなかったりと様々です。

【1】USSオートオークション

日本で最大規模の中古車オークションです。
USSオートオークションに入会するためには、
次の条件をクリアする必要があります。

「古物商許可証を受けてから1年以上を経過していること」
「常設の展示場と事務所を有し、営業活動をしていること」
「連帯保証人、または、USSサポートサービスが提供するSS会員制度の保証を受けられること」
「保証金10万円を預託すること」

【2】オートサーバー(AUTO SERVER)

日本最大級の中古車流通プラットフォームです。

業者間の中古車の仕入・売却や小売サポートなど
自動車販売事業者様を支援いたします。

オートサーバーの入会には、
正会員と準会員のいずれかに該当する方に入会します。

正会員で入会するには、
常設の店舗を所有、かつ、認証工場か指定工場を受けている、
又は、その店舗の不動産を所有が条件になります。

準会員は正会員の条件を満たさない方が加入します。
実績がない状態で中古車の仕入れを行う際には、
オートサーバーを利用すると良いでしょう。

オートサーバーで1年以上の販売実績を作ってから、
USSなど他のオークションサービスに加入して、
仕入れられる機会を増やして、事業拡大を進めます。

オークションで落札した車両には、
落札価格の他にリサイクル料、陸送費、各サービスの手数料、
消費税が加算された金額を指定期日までに入金を済ませます。

例えば、落札価格40万円の車両だとすると、
支払総額は52万円などといった金額で精算書を受領し、
その金額を記載の期日までに入金します。

支払いが期日を過ぎるとペナルティが発生し、
追加費用や利用制約など生じることもあるので必ず期日は守りましょう。

落札車両の陸送

オークションで落札した車両を工場まで運ぶために、
工場から近ければ自社引取、遠方であれば陸送を利用します。

自社引き取りができれば陸送費はもっとも安く済みます。
レッカー車があれば一人で現場まで向かい、
落札車両をレッカー車に載せて、引き取れば完了です。

レッカー車がなければ、2名で現場へ向かい、
1名が落札車両を運転して、引き取れば完了です。

ただし、従業員2名分の時間が割かれるので
頻繁に仕入れを行う事業スタイルだとおすすめできません。

遠方だと陸送会社へ依頼します。
陸送会社で検索すると何社か該当します。

陸送会社ゼロでは、
日本全国ドアtoドアの対応ができるネットワークがあります。

ネットからすぐに見積もりが行え、日程調整も完了します。
支払いはクレジットカードが利用できます。

陸送費用の見積もりを簡単におこなるサイトもあります。
例えば、近隣での陸送だと3〜4万円ほどからの対応が目安です。
※見積もりサイトはこちら→

仕入れた車両の販売準備

仕入れた車両が工場に届くと販売に向けて、
必要に応じて車両の整備や清掃を行います。

販売できる状態になれば、
天気の良い日に工場の前で車両の撮影を行います。

ナンバープレートには自社の社名の入ったものを
前と後ろに貼っておくと見栄えが変わります。

撮影はスマホで十分です。
正面、斜め、横、後ろ、タイヤ、ドア、ミラー、室内、運転席周り、
助手席、後部座席、トランクルームと外観と内装をご自身が見て、
きれいだと感じるように確認しながら撮影していきます。

撮影が一通り終えると、
車検証を用意して、中古車販売サイトへ登録していきます。

中古車販売サイト2選

日本で主要な中古車販売サイトは、
カーセンサーとグーネットの2つを抑えておけばOKです。

中古車販売業をはじめると、
カーセンサーやグーネットの担当者が営業にきます。

各エリアごとに担当者がおり、
周辺の競合他社も担当しているので、情報収集にも非常に役立ちます。

利用費用は月額制で、掲載台数に応じて金額が決まっています。
最低掲載台数は5台です。以後、5台ずつ増やしていくことができます。

立ち上げ当初は、まず手始めに5台の契約からはじめると良いでしょう。
月額利用費は2万円です。

掲載は5台までですが、
非掲載の車両の登録は5台以上できますので、
販売できる状態になった車両があれば登録だけ済ませ、
そのうち特に販売した車両を5台選び、掲載します。

カーセンサーやグーネットを通じて成約に至った場合の手数料は特にないので、
適正な価格設定で販売の回転率を上げていくことが大切です。

例えば、毎週1台の販売、月4台だと、
2万円の月額に対して、1台あたり5000円の費用になります。
毎週5台販売、月20台だと、
1台あたり1000円の費用で済みます。

カーセンサーやグーネットは利用している人の属性が
多少違う傾向があります。

そのため、カーセンサーで10台分を契約するのであれば、
同じ費用を使って、カーセンサー5台、グーネット5台で合計10台にして、
それぞれに車両掲載をした方が、同じ費用で、
より多くの人に見てもらえる機会が得られるのでお勧めです。

一定期間の販売をしてみて、
どちらの媒体の方が自社の扱う車両と利用者の相性が良いか、
傾向が現れてきた段階で、どちらか1社に絞っても良いですし、
契約台数の比重を分けてもよいでしょう。

販売車両の登録には、
車検証の情報をもとに車両情報の入力、
撮影した画像の登録と各画像の説明文、
自社の保証の有無などの独自にサービスの入力、
この3つが主で1台あたり30分もあれば完了します。

掲載ボタンを押すと、
カーセンサーやグーネットの自社の在庫車両ページへ
リアルタイムでは反映されず、数時間後に掲載開始されます。

問い合わせ対応

掲載車両を閲覧したお客様から問い合わせがあると、
登録したメールアドレスに通知が届きます。

通知内容の確認は、管理画面から行えます。
見積もり依頼が多く、車両への質問があれば、
管理画面の返信機能を使ってお客様へ連絡を行います。

その後は、管理画面を通じてやり取りを継続しても良いですし、
自社のメールやLineアカウントを案内して、
そちらでやり取りを継続しても大丈夫です。

遠方でない限りは来店・見学を案内し、
実際に車両を見ていただき商談を行い成約に繋げます。

車両販売後車両の販売が完了すると、
カーセンサーやグーネットに掲載していた車両は掲載から非掲載へ変更します。

お客様へ請求書をお渡しして入金をお願いし、
車両の納車日を決めます。

車両の納車日にあわせて、
車両の最終点検、清掃、名義変更を行います。

納車はお客様が引き取りに来店を希望されたり、
スタッフがご自宅までお届けしたり、遠方であれば陸送会社へ依頼します。

無事に納車が完了すれば、
仕入れから整備、販売までの一通りの流れが完了です。

あとがき

中古車販売をはじめるためには古物許可証などいくつかのライセンスを取得し、業者専用のオークションを活用して車両を安く仕入れ、月額2万円から利用できるカーセンサーなどの販売サイトを活用して販売、お客様からの問い合わせ対応、整備を行い納車になります。中古車市場が約4.1兆円、中古車販売店が2~3万店、自動車整備工場が約9.1万工場のうちいわゆる町の工場も多く点在している市場での事業になります。


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